ストレスおよび腹痛を
ともなう下痢を軽減する乳酸菌
どうやって見つけたの?
日清食品グループが保有している微生物ライブラリーの中から乳児由来の
「ビフィドバクテリウム・ブレーベ N708株 (ビフィズス菌N708)」を発見しました。
ビフィズス菌N708は、炎症性サイトカイン※1は増加させないが、抗生炎症性サイトカイン※2を増加させる働きが強いことを免疫細胞であるマクロファージを用いた細胞実験でスクリーニングし発見されました。そのため、ビフィズス菌N708の継続摂取により炎症の緩和が期待されます。
- ※1
- サイトカインとは、細胞から分泌されるタンパク質であり、細胞間相互作用に関与する生理活性物質の総称。炎症性サイトカインとは、炎症反応を促進する働きを持つサイトカイン。インターロイキン(IL)-12や腫瘍壊死因子(TNF)-αなどがあり、「ビフィズス菌N708株」は、IL-12を増加させないことを細胞実験によって確認している。
- ※2
- 炎症を抑制する働きを持つサイトカインであり、IL-10や形質転換増殖因子(TGF)-βなどがある。「ビフィズス菌N708株」は、IL-10を増加させる働きが強いことを細胞実験によって確認している。
- ※3
- IL-12:炎症性サイトカインの一種。免疫関連細胞を活性化させるが、過剰になると炎症状態の原因となる。
IL-10:抗炎症性サイトカインの一種。過剰な免疫反応(炎症状態)を抑える働きがある。
どんな働きをするの?
ビフィズス菌N708の摂取により「ストレスによる下痢」を有意に軽減されることを実証しました。
臨床試験の方法
日常的にストレスを感じ、腹痛および腹部の不快感を伴う下痢に悩んでいる人63名を2群に分け、ビフィズス菌N708を含む食品(被験食)と含まないプラセボ食を8週間摂取してもらいました。
合わせて「排便アンケート」「消化管症状評価」「気分状態評価」「血液検査」も実施しました。
8週間の摂取により「ストレスによる下痢」が軽減することを実証
消化管症状を評価する質問票である出雲スケール※の結果を基に、強いストレスを感じた時におこる下痢で困っていた被験者について解析しました。その結果、被験食を摂取した被験者では、「強いストレスを感じた時におこる下痢で困ったこと」に関する項目が、摂取8週目においてプラセボ食を摂取した被験者に対して有意に改善していました。
なお、この成果は「薬理と治療(2019年第47巻第11号、1883-1990)」に論文が掲載されました。
※ 出雲スケール:消化管全般(上部から腹部消化管)の症状を把握するために島根大学医学部が考案した質問票です。食道から腸までを網羅的に質問項目を設定しているため、消化管症状全般の把握に活用されています。